歴史
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農協みうら 平成10年 第345号~第353号
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農協みうら 平成9年 第333号~第344号
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農協みうら 平成8年 第321号~第332号
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農協みうら 平成7年 第309号~第320号
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農協みうら 平成6年 第297号~第308号
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農協みうら 平成5年 第285号~第296号
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農協みうら 平成4年 第273号~第284号
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農協みうら 平成3年 第261号~第272号
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農協みうら 平成2年 第249号~第260号
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農協みうら 平成元年 第237号~第248号
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農協みうら 昭和63年 第225号~第236号
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農協みうら 昭和62年 第213号~第224号
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農協みうら 昭和61年 第201号~第212号
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農協みうら 昭和60年 第189号~200号
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農協みうら 昭和59年 第177号~第188号
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農協みうら 昭和58年 第165号~第176号
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農協みうら 昭和57年 第153号~第164号
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農協みうら 昭和56年 第141号~第152号
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農協みうら 昭和55年 第129号~第140号
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農協みうら 昭和54年 第117号~第128号
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農協みうら 昭和53年 第105号~第116号
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農協みうら 昭和52年 第93号~第104号
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農協みうら 昭和51年 第81号~第92号
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農協みうら 昭和50年 第69号~第80号
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農協みうら 昭和49年 第57号~第68号
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農協みうら 昭和48年 第45号~56号
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農協みうら 昭和47年 第33号~44号
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農協みうら 昭和46年 第21号~32号
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農協みうら 昭和45年 第9号~20号
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農協みうら 昭和44年 第1号~第8号
野菜紹介
大根
三浦市における大根栽培の変容
三浦市での大根の歴史は古く、寛永年間から栽培されていたことが相模風土記に記録されています。当時の大根は、根が鼠のしっぽに似た「鼠大根」と呼ばれるもので、現在の三浦大根の形とは異なるものでした。この後、明治38年(1905年)に練馬大根の種子が導入され、高円坊など地元の大根との交雑・改良が生産者自らの手で行われ、三浦大根になっていきました。そして、大正14年(1925年)に三浦産の大根が「三浦大根」と正式に命名されて以来、三浦特産の冬大根としてブランド化し、長年にわたって名声を維持してきました。しかし、昭和54年(1979年)10月19日世界の観測史上最低気圧となる大型台風20号が三浦大根を壊滅状態に陥れました。三浦大根の播種時期を過ぎていたため種のまき直しができず、急遽当時三浦市ではあまり注目されず、関西を中心に栽培されていた青首大根が代用としてまき直しされました。青首大根は無事に育ち、出荷に間に合ったことに加え、三浦大根に比べて栽培が容易で収量が多く、軽量で作業が省力化され労働の手間も少ないという生産者側にとって好ましいことが広まり、多く栽培されるようになりました。また消費者側にとっても、甘みと小振りなサイズが高度成長期の社会ニーズにもマッチし、注目されたことで、わずか2~3年の内に一気に切り変わり、青首大根が三浦の大根の王座を取って替るようになりました。現在では農協へと共販出荷される99.9%が青首大根になっており、国の指定産地として生産を安定させ、冬の大根を食卓へ提供し続けています。
主な大根の種類
- 青首大根
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三浦市は大根の産地として全国的に有名で、三浦市の大根の生産量は全国トップクラスです。秋冬大根では昭和41年(1966年)より毎年大根を栽培している規模の大きな産地が国から指定される国指定産地に認定され続け、全国市町村別生産面積順位では絶えず1位または2位を誇っています。また、大根の旬と言われている11月~3月までの約5か月間出荷があり、下部の丸みが帯びた形と甘みと瑞々しい味が特徴です。近年の非常に激しい気象の変化に伴い、収穫時期にあった品種を安定させるため、検討会を毎年行い品質の良い大根が供給できるよう試験しています。
- 三浦大根
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年末の3日間、正月商材として出荷をしています。出荷量は全体の1%に満たない少量栽培で、希少価値の高い品種です。三浦大根の特徴は首の部分が白く細くて尻に向って太くなる「中ぶくれ」で、 長さ約60㎝、重さ約3㎏、大きいものは5~8㎏に肥大します。肉質はとても緻密で柔らかく、煮物やなます、ツマに向いており、出荷形態は今では珍しくなった袋詰めで行なっています。青首大根に切り替わっても、三浦大根の人気は根強く、冬の時期には三浦大根を求めて直売所を訪れる観光客を多く見受けます。
- レディーサラダ
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当農協のオリジナル品種です。昭和45年(1970年)から三浦大根の品種改良に取り組み、昭和52年(1977年)以降は「大根の消費拡大」と「小型でより良い味」を目的とした品種改良がスタートしました。日本はもとより世界各地から集められた大根が利用され、カラフルな色彩で様々な食べ方に適した大根が育成されました。その中の一つがサラダ専用種のレディーサラダとなります。三浦大根とアメリカやドイツの大根の交配によって育成され、昭和63年(1988年)には出荷が始まり、美しい赤色とサラダに向くことから女性をイメージして命名され親しまれてきました。特徴は外皮の色彩がピンク色を帯びた美しい赤い色で、内部の色は純白。皮ごと食べることで、白い大根に比べてアントシアニンを摂ることができます。重さは1本300~350gと食べきりサイズになっています。
品種開発では、レディーサラダの他に「小桜(こざくら)大根」「淡桜(あわざくら)大根」や「ニューレディーサラダ」なども開発しています。
キャベツ
三浦市におけるキャベツ栽培の変容
三浦市でのキャベツの栽培は大根に次いで歴史が古く、明治25年頃(1892年頃)に始まったとされており、130年以上の歴史があるキャベツの産地は全国的にも類を見ません。文明開化と共に西洋料理伝来し、その後トンカツの普及に伴い付け合せのための生食用キャベツの需要があったと考えられます。昭和40年(1965年)には春キャベツの主力品種でやわらかくて甘みのある「金系201号」が導入されました。また、固い寒玉系品種から冬キャベツと春キャベツを交雑した新品種の早春キャベツが育成されたことで、現在につながる栽培スタイルが確立されました。産地の大規模化と共に、昭和41年(1966年)には春キャベツ、昭和55年(1980年)には早春キャベツが、国の指定産地となりました。
主なキャベツの種類
- 本春(ホンパル)キャベツ・春キャベツ
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「‘本’当の‘春’キャベツ」と言う由来から市場関係者から本春(ホンパル)キャベツと呼ばれ、商品名となっている代表的ブランドです。高品質な生食用キャベツとしてのイメージを強調し、安全性や食味の良さを全面に押し出して販路の拡大を行ってきました。本春キャベツは収穫・箱詰めの工程をすべて畑にて行います。食べ頃を見極め・拾い切りした後すぐに箱に詰めるため、傷みを最小限に抑えたまま消費者へお届けすることが出来ます。最大の特長は「やわらかさ」で、新芽のように柔らかいためサラダなど生食ではレタスのようなフワフワとした食感を、煮込めば甘くトロトロとした味わいになります。
- 早春グリーンスターキャベツ・早春キャベツ
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冬キャベツと春キャベツの中間的性質を持ち、冬の寒い時期でもやわらかいキャベツとして開発されました。早春キャベツという名称は、春キャベツが出荷される前の1~2月の早春期に出荷されることから命名されました。数ある早春キャベツの中から選ばれた品種については「グリーンスター」というブランド名で販売しています。冬でも春のような品質の味わいが楽しめるとして需要もあり、作付けが増えています。
スイカ
三浦市におけるスイカ栽培の変容
三浦市のすいか栽培の起源は明らかではありませんが、明治16年(1883年)頃に三崎町花暮にあった青物市場の業務報告に登場します。作付面積が増え始めたのは昭和10年(1935年)頃に上宮田地区の生産者が千葉県から接ぎ木技術が導入されたことを契機に栽培が本格化しました。しかし、太平洋戦争時には作付統制令によって作付けが禁止され栽培が中断。一時三浦すいかはその姿を消しました。復活をしたのは食料事情が好転し始めた昭和24年(1949年)から栽培が再開すると、露地栽培からトンネル栽培に転換・定着したことや苗を自給するなどの技術が研究・開発されたことにより、昭和38年(1963年)には県の野菜指定産地になり、名実ともにすいかの名産地になりました。現在では省力的なトンネル栽培として、「オッカブセ栽培」やこれを改良した「先がけ栽培」が開発され、「整枝栽培」を加えた3種類が主な栽培方法として定着しており、全体的には「先がけ栽培」が6割程度と最も多いです。各地域や家々によってツルの整え方やビニールトンネルのかけ方、受粉の時期など栽培方法や肥料・品種は異なり、味の特徴があるためシールや箱を見て食べ比べがオススメです。
主なスイカの種類
- 大玉すいか
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三浦市のすいかはシャリ感があり水分量も多いためジューシーさが特徴で、水分補給の代わりとして地元では食べられます。スーパーなどの量販店ではカットスイカとして人気があり、夏の風物詩として売り場が賑わいます。
- 小玉すいか
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棚持ちがよく、冷蔵庫に丸ごと入るというお手軽さがあります。現在では、カット加工に向く果肉が硬めの品種や、種まで食べられる“ナノシード”が栽培され始めています
メロン
三浦市におけるメロン栽培の変容
昭和35年頃から、経営規模が小さい農家が取得増大を図るため、夏作の検討をしていたところ、「プリンスメロン」が発表されたことをきっかけに、初声の青少年グループの和田農事研究会が、プロジェクトとして取り上げ、三浦での栽培が始まりました。 昭和50年代半ば以降、三浦の夏野菜の中で面積が多いスイカ消費の大幅な減少と、価格低迷により、面積が増大してきたカボチャの後を追うようにメロンの栽培が急増。それを機に、三浦半島の特産夏野菜としての地位を確立してきました。 しかし、本格的な栽培が始まってから10年経過した頃、連作障害による収量低下が目立ち始め、平成元年には、ホモプシス根腐病によるしおれ病が発生、蔓延してしまいました。そこで、関係機関でしおれ病の対策が検討された結果、収穫後のトンネルを密閉処理した太陽熱消毒が効果的であり、普及活動がされました。その結果が功を奏し、その後しおれ病は徐々に減少しました。 しかし、これらの対策は、費用と労力を要すること等から、ピーク時の1990年(平成2年)には、130ha近くまで増えた栽培面積も漸減し、1990年以降はバブル崩壊後の不況等により、宅配便や直売所の需要が低下してしまい、1998年には100haを下回るようになってしまいました。 平成に入ってからは、トンネルメロンも高品質化の時代となり、様々な品種が栽培され始めました。 現在では、共販出荷で「キンショー」、宅配便や直売所で「貴味」「クルメ」など多くの品種が販売されており、赤肉や青肉など、様々な種類が栽培されています。
主なメロンの種類
- キンショーメロン
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スペイン系メロンとマクワウリを掛け合わせて作られたノーネット系メロンで、現在の共販出荷のほとんどの割合を占めています。縦長の楕円形をしており、果皮は淡い黄色、果肉はクリーム色をしています。さっぱりした甘みが根強い人気となっている品種です。
- クルメメロン
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ネット系メロンで、棚持ちが悪いため市場出荷には向かないという弱点を抱えていますが、安定した甘さとなめらかな食感、香りの良さなどから人気は高く、宅配便や直売所での販売を主とし、作り続ける生産者さんが多いです。
カボチャ
三浦市におけるカボチャ栽培の変容
三浦市での本格的なカボチャ栽培は昭和51年(1976年)に遡ります。昭和50年(1975年)代前後にスイカの安値が続いたため、代替え作として導入されました。当時世間に多く出荷されていた品種ではなく、若者の好みに合うと考えられていた粉質が多い特徴を持つ「みやこ」という品種が導入されました。栽培面においても受粉しやすく密植栽培でき側枝の発生が少ない、そして受粉から早く収穫できるというメリットがあります。昭和63年(1988年)には平塚・横須賀農業改良普及所や園芸試験場と協力をして独自の「ぼかし堆肥」の開発が進み、ぼかし堆肥と慣行の化成肥料で栽培したみやこかぼちゃを比べるとビタミンAの含有量が増加することがわかり、栄養価が高く、色も良く、味も良いなどの特徴を生かした付加価値の高い販売へとつながっています。
主なカボチャの種類
- 三浦こだわりみやこかぼちゃ
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「ぼかし堆肥」を使って栽培し、通常35日程度で収穫出来るものを、さらに10~15日かけ畑にて50日程度十分に完熟させて作られ共販出荷されるものだけを「三浦こだわりみやこかぼちゃ」と呼び、市場でも高い評価を得ています。粉質が多くホクホク感があり栗のようにとても甘く、カロチン含有量が高く中の色はやまぶき色の濃いもので、種子を切ると黒い縁取りがあるものが完熟の証となっています。生産者は毎年必ず出荷前に農協職員の検査を受け、完熟であると合格を受けないと出荷が出来きません。長年ぼかし堆肥を使い続けて栽培することで、たんぱく質など14項目について日本食品成分表の標準値より多く、特に可食部100g当たりの総カロチンとビタミンAが標準より4倍程高いことがわかっています。
とうがん
三浦市におけるとうがん栽培の変容
昭和60年(1985年)以降、夏期におけるスイカなどの代替作物として導入されました。導入当初は沖縄系の大とうがんを栽培していましたが栽培しづらかったため、台湾で栽培されている品種を導入して栽培を続けました。その後、より三浦の気候に合い、収量の安定する品種が求められたことから組合独自に品種改良、育成を進めて平成17年(2005年)に「ミニとうがん」を育種し、平成26年(2014年)以降は「ミニとうがん」をさらに改良した「ミニとうがん2号」を栽培しています。 組合管内からは「三浦とうがん」と小ぶりなサイズの「三浦ミニとうがん」として関東を中心に出荷され、一部は東北方面へも出荷されています。
主なとうがんの種類
- ミニとうがん
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農協オリジナル品種でとうがんと言えば通常大きいものですが、家庭でも使いきれるサイズであると人気があり、市場からも小玉果を平均的に出荷するよう要望があります。出荷時期が長いため、長く旬の味覚を楽しめます。また栽培が始まった当初は大衆野菜からはほど遠くスーパーに並んでいても、なかなか販売が難しかったため、積極的な消費宣伝が行われ、現在でも続けています。
農家の1日
※1:「緑肥」は土壌消毒剤を使わずに土を消毒する方法で、減農薬や環境保全型農業に取り組んでいます。
※2:「交配」とは、実になる花(めしべ)に、おしべの花粉を付け、受粉させる作業です。 1つ1つ手作業で行っている農家さんと、交配用のミツバチを畑に置いて、ハチに交配させる農家さんがいます。
1日のスケジュール